震災情報のアーカイブについて、取材に取り掛かり始めました。
まずは、そもそも私がこの企画を思いつくきっかけとなった、せんだい3.11メモリアル交流館の交流係、田澤紘子さんを訪ねました。
田澤さんは、RE:プロジェクトという取り組みで、ライターの西大立目祥子さん、詩人の武田こうじさんと一緒に、仙台市沿岸部を巡り、“地域資源を再発見/再認識/再考する”取材を続けてこられました。

せんだい3.11メモリアル交流館 田澤紘子さん

RE:プロジェクトが記録しようとしているのは、防災や減災といった文脈で語られる震災そのものの記憶ではなく、震災前からすでに無くなりつつあり、震災とその後の復興がダメ押しとなってついに消え去ろうとしている、仙台市沿岸地域の歴史と、そのつながりの上にこそあった地域の人たちの暮らしです。
津波や原発事故の影響で、それまでの暮らしを手放さざるを得なかった方たちに対して、都市部で育ち、土地や地域との結びつきが薄い私は、
「わざわざ危険のある地域に戻らないでも、新天地で新しい生活を始めたって別にいいじゃないか」
と安易に思ってしまうのですが、いやいや、そう簡単に割り切れるものじゃないのだということを、このRE:プロジェクトの取り組みは教えてくれます。
もうひとつ、RE:プロジェクトが特徴的なのは、詩人の武田こうじさんが関わっていることです。
地域の人たちの言葉にならない思い、写真には写らない空気や気配、そうした情報の質感まですくい取って伝える役割を、武田さんの詩が担っています。記憶をつむぐということは、決して事実をそのままに記録していくことではないのでしょう。フィクションが果たす役割についても改めて考えさせられました。

せんだい3.11メモリアル交流館で、詩の朗読をする武田こうじさん

田澤さんは私との取材依頼のメールのやりとりの中で
「大震災から6年が経ちましたが、暮らしていた地域を失った方たちが語る言葉は、聞くたびに揺らいでいるなぁ、と感じています」
と語ってくれましたが、インタビューの際、田澤さんもまた、確信ではなく迷いや葛藤の中から言葉をつなぎ合わせてお話してくれたのが印象的です。
被災地で復興を押し進めようとするとき、行政はどうしても何かを割り切っていかなければならないのだと思います。でも、RE:プロジェクトのように、行政に関わる人の中から、割り切れなさをすくい取ろうとする取り組みが出てくることに注目しなくてはいけないと思います。復興という言葉の下で揺らいでいるのは、震災で直接大きく傷ついた人たちばかりではないのです。

仙台市沿岸部の被災地域についての取材をまとめた、RE:プロジェクト通信
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相沢 由介

1980年生まれ。 インフォーカスの取材・編集・発行を全て一人で行っています。その他、フリーのカメラマン・ライターとして、紙媒体の企画や取材、企業や個人事業の広報物・WEBサイト等の作成を行っています。

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