震災の記憶のつむぎ方について、取材を進めています。
震災直後より市民からの提供情報をアーカイブし、それらを活用して様々な活動を展開している、NPO法人20世紀アーカイブ仙台3.11オモイデアーカイブの佐藤正実(さとうまさみ)さんに取材させていただきました。

NPO法人20世紀アーカイブ/3.11オモイデアーカイブ 佐藤正実さん

正実さんたちの取り組みのひとつに『3月12日はじまりのごはん』という企画展があります。これは、「震災のとき、はじめて口にしたものはなんでしたか?」という問いかけをもとに、 市民が撮影した震災後の、炊き出し、買い物、食卓の風景などの写真を展示。本来写真に添付すべき正確なキャプションはあえてつけず、来場者が写真を見て思い出したことなどを、思い思いにふせん紙に書いて貼り付けていくというもの。
正解のキャプションをつけないことで写真の意味が開かれて、より多くの人が写真から思い出を引き出せるようになるそうです。だから、「仙台の写真を使った同じ企画を、東京でも熊本でもできた」と正実さん。

正実さんはアーカイブの記録について、“関わりしろ”という言葉を使います。記録は大学の先生などの専門家だけのものになってしまってはいけない。関わりしろを広げることが大事と。
震災についてのヒアリングを行うと、「私は震災でひどい目にあってないから」と、自分は何も語ることがないと身構えてしまう人も少なくないとのこと。だからごはんという一番身近なモチーフで関わりしろを広げてやる。
「日常の生活を写した記録写真には、外には出にくい秘めた言葉がある」と正実さんはいいます。
「地震(※)、いや対したことないよ、戦後に比べたら。だって炊き出しがすぐに来てご飯食べれたもん」お年よりがよくこういう話をするそうです。 防災・減災という教訓の文脈においては、記録に残しづらいこのような言葉も、後世の人たちがより重層的に、そして自分達の日常の先に3.11を思い描くためにすくい取っておくことが必要なのだと思います。

(※)「地震・津波」→「地震」に変更しました。戦争を体験した方々がおっしゃったのは、戦後の生活と災後の生活についてとのことでした。(2017.04.09)

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相沢 由介

1980年生まれ。 インフォーカスの取材・編集・発行を全て一人で行っています。その他、フリーのカメラマン・ライターとして、紙媒体の企画や取材、企業や個人事業の広報物・WEBサイト等の作成を行っています。

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